創造性とデザイン性に優れた注文住宅をこれまで数多く生み出してきたミサワホーム。独自工法による「柱のない家」や南極昭和基地の建物建設のサポートなど、多くの先進的な取り組みでも知られています。
近年はスマートホームテクノロジーをいち早く導入。太陽光発電システムなど省エネ技術を積極的に取り入れ、自然災害への対処、有害物質の排除など、健康と安全に配慮した設計にも力を入れています。
そんな先進性を持つミサワホームがこれまで積み上げてきたノウハウを活用し、社員のために立ち上げたスペースが、新宿の本社内にある「Co-Creation Park(コ・クリエーション パーク)」です。 室内に自然に近い環境を再現することで創造性を刺激し、社員同士が部署の垣根を越えて交流できるようさまざまな工夫がされており、その中で私たちのルームフレグランスを活用いただいています。
今回、この場所が作られた背景、そしてベレアラボの香りを導入した目的などについて、立ち上げプロジェクトの中心となった同社人事総務部 総務課の上村 美弥子(うえむら みやこ)さんにお話をうかがいました。
バイオフィリックデザインを導入し、五感を通じて自然とつながる環境を創出
新宿区にあるミサワホーム本社。15階フロアのドアを開けると、目に飛び込んでくるのは植物の鮮やかな緑。聞こえてくる川のせせらぎの音。そして、やさしく漂う「CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)」の香り。
2022年に作られた「Co-Creation Park」は、今までのオフィスとはまったく違う考えでデザインされた空間です。
最も大きな特徴が「バイオフィリックデザイン」の導入でした。語源となっている「バイオフィリア(Biophilia)」という言葉は「人が先天的に持つ、自然とつながりたいという本能的な欲求」をいいます。バイオフィリックデザインとは、この概念を空間に反映させること。この考えをオフィスデザインに取り入れることで社員が幸福感を得るとともに、集中力や創造性の向上、コミュニケーションの活発化などが期待できます。
このデザインを導入した理由について、立ち上げプロジェクトの中心となった上村さんはこのように語ります。
「社員の皆さんに自然を感じながら過ごしてもらい、それをストレスの軽減や生産性の向上につなげてほしい。そんな思いからバイオフィリックデザインを導入しました。五感に響く仕掛けを施すことで、より自然に近い環境にしています。
例えば視覚についてはフロア全体に緑を配置して、さらに、自然光に近い柔らかなトーンの『サーカディアン照明』も取り入れました。時間ごとに照明の強さを変えることで、1日の時間の流れを感じてもらうことが狙いです。聴覚については、川のせせらぎや鳥の声など四季それぞれのサウンドをより自然に、やさしく耳に届くように再生しています。
そして香りについては『SWINGING PEAR(スウィンギング ペアー)』、『BRIGHTENING CITRUS(ブライトニング シトラス)』、『CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)』、『INSPIRING KODO(インスパイアリング コードー)』の4つを使い分けて、四季を感じさせる演出を行っています」。
社員がより人間らしく働き、つながりを深めることができる環境を整える
フロアを見わたすとオープンなフリーアドレスエリア、集中して作業できるブース、グループワークに適したミーティングルーム、リラックスできるリフレッシュエリア、ガラス張りのミーティングルームなどの区画が仕切りなしで設けられ、各自が思い思いの時間を過ごしています。
集中して黙々と作業をする人、飲み物を片手にリラックスする人、ガラス張りのブースの中でWeb会議をする人、久しぶりの再会を喜び合う人たち、楽しく談笑する仲のいい同僚たちなど、過ごし方はさまざま。ここはグループ企業を含めた社員が誰でも自由に使うことができます。
このスペースが立ち上がったきっかけはコロナ禍でした。テレワークの導入が一気に進み、毎日の出社率は約6割。多くの社員が週2日ほどテレワークをするのがスタンダードとなり、Web会議が増えるなど、働き方は大きく変化。リモートワークの増加は時代の流れである一方、出社する理由が希薄になり、社員のコミュニケーション不足が徐々に課題として表れつつあったそうです。
「多くの人にとって住宅は人生で最も大きな買い物。中でも注文住宅の建築は、多くのスタッフがお客様のライフスタイルに寄り添いながら共同で行っていく仕事です。だからこそ今の時代にふさわしい柔軟な働き方への切り替えを促進しつつ、社員がより人間らしく働き、つながりを深める環境を整えることを考えました」。
人と人の直接の交流からイノベーションを生み出す新しい環境を提案したい。そんな発想から、『Co-Creation Park』立ち上げプロジェクトがスタートしました。総務課に異動する以前、個人向け住宅の営業を担当していた上村さんは社員を顧客のようにとらえ「みんなが創造性豊かな時間を過ごすために何が必要か」を考えていったそうです。
「ここにはもともといくつかの会議室と自動販売機を設置した休憩スペースがあり、それぞれが仕切られていました。最初に考えたのは『この限られた用途の空間をもっとさまざまなことに使える場所にしたい』ということ。そこでスペースを区切っていた間仕切りを取り去り、オープンな空間にしました。
今までにない価値をこの場所から創り上げてほしい。そのためには、ただ机があって椅子があって、照明があって、というありきたりな空間ではいけない。狭い会議室に集まって堅苦しく話し合うのではなく、人が自発的に集まり『ちょっと聞いてもらいたいんだけど』というような何気ない会話が気楽に進んでいくリビングルームのような空間にしたいと考えました」。
『Co-Creation Park』という名称は、このスペースに集った人と人が『共に』新たなことを『創造』する、すなわち『共創(Co-Creation)』が自発的に生まれる場をイメージしたものです。スペースの用途はビジネスに限定されてはいません。仕事をするだけでなく、休憩するだけでもなく、会議室でも休憩室でもカフェでもない。そのバランスを上手く取り、幅広い用途に対応させることを考えました。上村さんによると、以前ここで社員向けヨガイベントを行ったこともあるそうです。
四季で変わる4つの香りで、季節の移ろいを感じてほしい
このスペースは、ミサワホームのESG経営(※)を象徴する場所でもあります。社会が大きく変わり、働き方や働く場の価値観も大きく変わった今、ひとりひとりが健康に働けることと、生産性の高い環境づくりの両立が求められているのです。
※先の利益や評価だけではなく、環境や社会への配慮、健全な管理体制の構築などによって持続可能な発展を目指す経営手法Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3要素を反映させる経営方針
バイオフィリックデザインを導入した背景にはそんな時代の流れもあります。そして今回ベレアラボの香りを導入した理由について、上村さんはこう語ってくれました。
「ベレアラボさんのルームフレグランスはしっかりと香るだけでなく、スポーツ選手がパフォーマンス向上のために活用していたりと、品質と使用実績の裏づけがしっかりしている。だからこそ、時には社員の集中を、時にはリラックスを助け、人と人をつなぐ架け橋になってほしいと考えました」
特にこだわったのが、四季に合わせて1年間で4つの香りを切り替えることでした。春は揺れる洋梨がみずみずしいフルーティーフローラルの香り『SWINGING PEAR(スウィンギング ペアー)』を、夏はカリフォルニアオレンジの弾けるような明るさが特徴の『BRIGHTENING CITRUS(ブライトニング シトラス)』、秋はベルガモットとラベンダーの香りが穏やかな爽やかさをもたらす『CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)』。そして冬は香木の香りが心に静寂をもたらす『INSPIRING KODO(インスパイアリング コードー)』の香りで演出しています。
「気温や湿度によってなじむ香りは変わります。四季ごとに香りを変えることで、オフィスの中にいてもちょっとした季節の移ろい、気温や湿度の変化を感じる心の機微を持ってほしいと思いました。それは、住宅をつくるという仕事にきっとつながるはずです」。
難しかったことの一つがディフューザーを設置する場所。上村さんはフレグランスコーディネーターとともに、香りをどこの場所からどれぐらい漂わせるか試行錯誤を重ねました。
「適度に香らせるバランスをチェックするため、最初のころは1日に何度もここに来ていましたね。最初はフロアの中央部分に置いてスペース全体に香りを広げることも考えたのですが、それよりも、入室した瞬間に気分を切り替えてもらうことを重視して、入り口から数メートル先の窓際付近に置いています」。
スペースに入った瞬間、香りによって感性が刺激されることで新しいコミュニケーションも生まれ始めているようです。
「昔つながりのあった方同士がここで『だいぶご無沙汰していますね』というようなコミュニケーションを取っているところをよく見ます。久しぶりの再会をきっかけにビジネスの新しい話で盛り上がった、という声も聞いており、本当にうれしい限りです。
『この香りすごく素敵ですね。自分の家にも置きたいです』と言ってくれる社員も多くいます。その中で最も多い反応は『ああ、言われると確かに、このスペースにはいい香りが漂っていますね』というもの。快適に働いてもらうには、それぐらいの穏やかな香り方がちょうどいいですよね。感性を刺激する香りがさりげなく漂う環境の中で創造性、生産性を高め、いいつながりを作ってほしいと思います」。
多くの社員が部署の壁を越えて、思い思いの時間を過ごす場所。気づけば自然と足を向け、交流し、ゆるやかにつながっていくスペース。そんな空間づくりを香りでサポートできているとすれば、本当に喜ばしいこと。そしてその結果、ここから新たな先進的イノベーションが生まれる。そんな日も決して遠くないのかもしれません。
▼本マガジン記事でご紹介した商品はこちら
CHEERING BERGAMOT / チアリングベルガモット | SWINGING PEAR / スウィンギングペアー |
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BRIGHTENING CITRUS / ブライトニング シトラス | INSPIRING KODO / インスパイアリング コードー |