ヴェネチアンガラスアーティスト・土田康彦の創作活動を支えるベレアラボの香り

ヴェネチアンガラスアーティスト・土田康彦の創作活動を支えるベレアラボの香り

1300年以上の歴史をもつイタリアを代表する伝統工芸品であり、カラフルな色使いを特徴とする芸術作品がヴェネチアンガラスです。この産地として知られるヴェネチアのムラーノ島にスタジオを構え、作品制作に打ち込む唯一の日本人アーティストがいます。彼の名は土田康彦(つちだ・やすひこ)。ガラスの詩人の異名を持ち、自身の哲学やメッセージを鮮やかな色彩や独創的な造形に込めた、唯一無二の作品を生み出し続けているアーティストです。

 

香りにも造詣が深く、ベレアラボのフレグランスを愛用する土田さんに、自身の創作活動や芸術と香りとの関係性についてお話を伺いました。

ヴェネチアンガラスアーティスト・土田康彦さん


出会いのきっかけは、増上寺のイベント

土田さんがベレアラボと出会ったのは、2022年5月。東京・増上寺で行われた「香道の世界 ー 志野流香道500年の継承」がきっかけでした。土田さんはこのイベントで志野流香道21世家元継承者一枝軒宗苾さんとのコラボレーション作品として香炉を発表。志野流の長い歴史の中で初めてとなるガラス製の香炉を土田さんが手がけたのです。

ベレアラボは、イベント内の特別企画として「香りのアート展 in 増上寺」をプロデュース。土田さんもこの展示会に出展していたことから、ベレアラボとの関係が始まりました。

「香りのアート展 in 増上寺」の様子


土田さんの心を最も掴んだベレアラボの香りとは?

「会場にはべレアラボの自然をテーマにした素敵な香りが数多く展示されていました。全体的な印象を一言で言えば、やさしい。そして、センスがあるなと感じました。大量生産的なものではなく、独創性があって、ひとつひとつの個性をとても大切にしているブランドなんだなと思いましたね」

 

中でも土田さんの心を最も掴んだ香りは「CHILLING LEMON TEA(チリングレモンティー)」。紅茶にスライスしたレモンを入れた瞬間のようにふわりと香るシトラスと、生のジンジャーのフレッシュな刺激が心地よく、リラックスした時間を過ごせるような香りです。

「僕は紅茶が好きで〈チリングレモンティー〉の香りは飲みたくなるくらい自分の好みに合っていたんです。やさしさやイタリア語で言うエレガンテ、つまり品格も感じました」

 

 

ドライとセンチメンタルのほどよいバランスが魅力

「僕が好きなものって、ロックバンドでも小説でもドライとセンチメンタルの塩梅が絶妙なんです。ロックミュージックに例えると、パサパサしたドライな感じが強い音楽はあまり好きになれません。かといって、好きなんだけど振り向いてくれないとか、失恋して傷ついた心情をテーマにしたようなセンチメンタルな作品も好きではない。このふたつがほどよいバランスで感じられる作品が好きで〈チリングレモンティー〉にはそれが感じられるんです。

心を揺さぶられる香りでありながら、湿っぽくはない。僕にとってちょうど良いさじ加減だと思いますし、世界で一番好きな香りになりました」

CHILLING LEMON TEA(チリングレモンティー)」以外には、柑橘系の「CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)」やホワイトティーとピオニーを組み合わせた「SMILING TEAONY(スマイリング ティオニー)」などが印象に残っているそう。

 

土田さんによるヴェネチアンガラスの作品

 

ガラスと香りの意外な共通点

香水は昔から好きだけど、もしかしたら自分のクリエイションと香りは対極にある世界なのかもしれないと話す土田さんですが、ガラスと香りには共通点があるそうです。

「実は両者はかけ離すことができない関係性にあると思います。そもそもパフュームボトルはすべてガラス製なので、その時点でガラス=香水です。さらに言えば、今からおよそ500年前にミケランジェロもダ・ヴィンチも言っていたのは、芸術はアートのセンスとサイエンス、この両輪がないとできないものであるということ」

ベレアラボのスタジオ

「昨年訪れたべレアラボのスタジオは研究所のような施設で、そこには研究者と言われる調香師の方がいらっしゃった。同様にガラスの制作でも完成までのプロセスで化学者、研究者が圧倒的な存在感を示しているのです」

 

ガラスは適当に混ぜたり、炊いたりしたらできるものではありません。どんな素材を何%加えるのか、数グラム単位で精密に測った上で、温度管理を正しく行うことで初めてできるものです。

 

「研究者がいるからこそ成り立つ、サイエンス、化学の賜物なんですね」と土田さん。

 

「色彩やフォルムをのぞいて、僕が芸術で最も大切だと思うのは、飾られた空間を作品がいかに支配するのか。そこは僕自身がこだわっているところでもあります。香りも部分的に瞬間的にカラダなどを香らせる役目もあるでしょうけど、香りを纏うことで、その日のその空間をポジティブな意味で支配できる、つまりは香りを感じた人を幸せな気持ちにしたり、うっとりさせたり、爽やかな気持ちにできることが、香りの芸術的な魅力だと思います」

 

聖なる場所を満たすベレアラボの香り

一連の創作過程の中で最も大切なのは言語化することだと話す土田さん。一点ものの芸術作品をつくっているため、コンセプトビルディングのプロセスがとても重要で、それを生み出すスタジオは集中力や想像力、創造性を発揮しなければならない聖なる場所だと話します。

スタジオでコンセプトビルディングを行う土田さん

「すべての神経をマックスにもっていこうとした場合、とても重要な要素になってくるのが香りです。スタジオの空間を満たしているのは、やはりベレアラボの〈チリングレモンティー〉。物事はリラックスした雰囲気でつくっていくべきだと思いますが、それだけではダメで、どこかに緊張感のような感覚が必要になります。〈チリングレモンティー〉は背筋が伸びるようなほどよい緊張感を感じながらも、まったりしたり、うっとりさせてくれる。ドライとセンチメンタルの塩梅がちょうどよく、集中力をキープできるんです」

 

土田さんが持つのは、今年5月に発表された新作「カカオの音色」

 

クリエイターに必要なのは、新しい世界に飛び込んでいくこと

ベレアラボの香りで満たしたスタジオを拠点に作品づくりを行う土田さん。今後はどのような活動を行っていくのでしょうか?

「僕は1から10をつくるのではなく、0から1をつくるクリエイターなので、デザインよりも先に衝撃が必要なんです。それは自分がつねによそ者になって新しい世界、これまで触れてこなかった分野に飛び込んでいき、感じたことのない風に触れること。そして、自分の聖地であるスタジオに戻ってきた時に、それをうまく消化して、これまでにないものをつくっていきたいと思います」

アーティストとして円熟味を増す一方で、さらなる挑戦への意欲にもあふれた土田さん。彼の創作活動をやさしく鼓舞するのが「CHILLING LEMON TEA(チリングレモンティー)」の香りなのです。

 

【プロフィール】

■土田康彦(ヴェネチアガラス作家)

つちだ・やすひこ/1969年大阪市生まれ。ヴェネチア・ムラーノ島にスタジオを構える唯一の日本人アーティスト。辻調理師専門学校を卒業後、渡欧。パリで暮らしたのち、イタリアのヴェネチアへ。1995年からムラーノ島でガラス制作に携わる。その活動はガラスの作品だけにとどまらず、小説『辻調鮨科』、『神戸みなと食堂』の執筆をはじめ、映画や建築など幅広いジャンルを縦横無尽に行き来することによって、独自の世界観を生み出している。自身の芸術について、アート、文学、音楽、食の4つの要素で成立していると話し、単にガラスの作品を発表するのではなく、この4つの要素をつねに調和させながら発表するスタイルにもこだわりを持つ。

https://www.tsuchidayasuhiko.it/

https://www.instagram.com/tsuchy_official/

 


▼本マガジン記事でご紹介した商品はこちら

CHILLING LEMON TEA / チリング レモンティー CHEERING BERGAMOT / チアリングベルガモット
SMILING TEAONY / スマイリング ティオニ

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