1300年以上の歴史をもつイタリアを代表する伝統工芸品であり、カラフルな色使いを特徴とする芸術作品がヴェネチアンガラスです。この産地として知られるヴェネチアのムラーノ島にスタジオを構え、作品制作に打ち込む唯一の日本人アーティストがいます。彼の名は土田康彦(つちだ・やすひこ)。“ガラスの詩人”の異名を持ち、自身の哲学やメッセージを鮮やかな色彩や独創的な造形に込めた、唯一無二の作品を生み出し続けているアーティストです。 香りにも造詣が深く、ベレアラボのフレグランスを愛用する土田さんに、自身の創作活動や芸術と香りとの関係性についてお話を伺いました。 ヴェネチアンガラスアーティスト・土田康彦さん 出会いのきっかけは、増上寺のイベント 土田さんがベレアラボと出会ったのは、2022年5月。東京・増上寺で行われた「香道の世界 ー 志野流香道500年の継承」がきっかけでした。土田さんはこのイベントで志野流香道21世家元継承者一枝軒宗苾さんとのコラボレーション作品として香炉を発表。志野流の長い歴史の中で初めてとなるガラス製の香炉を土田さんが手がけたのです。ベレアラボは、イベント内の特別企画として「香りのアート展 in 増上寺」をプロデュース。土田さんもこの展示会に出展していたことから、ベレアラボとの関係が始まりました。 「香りのアート展 in 増上寺」の様子 土田さんの心を最も掴んだベレアラボの香りとは? 「会場にはべレアラボの自然をテーマにした素敵な香りが数多く展示されていました。全体的な印象を一言で言えば、やさしい。そして、センスがあるなと感じました。大量生産的なものではなく、独創性があって、ひとつひとつの個性をとても大切にしているブランドなんだなと思いましたね」 中でも土田さんの心を最も掴んだ香りは「CHILLING LEMON TEA(チリングレモンティー)」。紅茶にスライスしたレモンを入れた瞬間のようにふわりと香るシトラスと、生のジンジャーのフレッシュな刺激が心地よく、リラックスした時間を過ごせるような香りです。 「僕は紅茶が好きで〈チリングレモンティー〉の香りは飲みたくなるくらい自分の好みに合っていたんです。やさしさやイタリア語で言うエレガンテ、つまり品格も感じました」 ドライとセンチメンタルのほどよいバランスが魅力 「僕が好きなものって、ロックバンドでも小説でもドライとセンチメンタルの塩梅が絶妙なんです。ロックミュージックに例えると、パサパサしたドライな感じが強い音楽はあまり好きになれません。かといって、好きなんだけど振り向いてくれないとか、失恋して傷ついた心情をテーマにしたようなセンチメンタルな作品も好きではない。このふたつがほどよいバランスで感じられる作品が好きで〈チリングレモンティー〉にはそれが感じられるんです。心を揺さぶられる香りでありながら、湿っぽくはない。僕にとってちょうど良いさじ加減だと思いますし、世界で一番好きな香りになりました」「CHILLING LEMON TEA(チリングレモンティー)」以外には、柑橘系の「CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)」やホワイトティーとピオニーを組み合わせた「SMILING TEAONY(スマイリング ティオニー)」などが印象に残っているそう。 土田さんによるヴェネチアンガラスの作品 ガラスと香りの意外な共通点...
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未来を司る最先端の医療施設が、エグゼクティブたちの心を掴む “次世代医療の常識を創る”を目標に、関連大学の研究者と医療機器を提供する企業が集まり、最先端の医療やその周辺機器の研究を行う施設が「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」です。 国内外からのアクセス至便な羽田空港の近接地「羽田イノベーションシティ」に位置し、海外からも多くの医療関係者や患者などが訪れます。 健康への投資を惜しまない国内外のエグゼクティブが通うこの施設内には、最先端医療が受診できる自由診療クリニック「藤田医科大学 羽田クリニック」と、精密健診/検診サービスを提供する会員制の「フジタ エグゼクティブクラブ羽田」が併設され、先端医療研究センターで研究開発された医療機器や治療方法が即座に取り入れられることで、疾患の早期発見、早期治療に役立てられています。 和風の設えで心安らぐ施設内 館内は地下1階から地上4階までの5つのフロアで構成され、木材を模したブラウンカラーの壁面や障子を思わせるデザインなど和をイメージした高級感のある内装が特徴です。廊下や健診の待合室は広々とした空間を備え、隅々まで日本らしいホスピタリティを感じます。 空港に隣接していることもあり、施設の窓はすべて防音仕様。館内には静かで落ち着いた空間が広がっています。一般的に医療施設といえば、緊張感のある雰囲気が多い中、心安らぐ上質な設えで訪れた人たちをやさしくもてなしているのです。 中でもこの施設がほかとは違う非日常的で特別な場所であることを印象づけるために、決定的な役割を果たしているのが、空間に漂うベレアラボの香りです。 香りで来院者が笑顔になる 「この施設は日本最先端の医療研究を行っているため、医療関係者が視察に訪れたり、健康への投資を惜しまないお客様が、エビデンスに基づいた精密健診や検診を受診するために国内外からいらっしゃいます。 知識も経験も豊富なエグゼクティブのみなさまが館内に入ってすぐにおっしゃるのが“素敵な香りですね”という言葉。気持ちが和らぐのか、香りを感じた瞬間から自然と笑顔になられるような気がします」 そう話すのは藤田医科大学東京 先端医療研究センター事務部で部長を務める濱野和治(はまの かずはる)さん。館内の環境向上のためにべレアラボの香りを積極的に取り入れた立役者です。 開業当初は1階と2階の2ヶ所だけにアロマディフューザーが設置されていましたが、濱野さんの提案によって、エントランス、エレベーターホールなど1階から3階までの各フロアに1ヶ所ずつ、合計3か所へと拡大されました。 その理由について、「1階と2階だけではもったいないと感じた」と話す濱野さん。いったいどういうことなのでしょうか? 待ち時間を香りで心地よく 「3階にある精密健診センターで、MRIや全身のがんを調べられるPET-CTなど最先端の機器による検診を受けられるのが、この施設の強みでもあります。検診はそれなりに時間のかかるもので、ご自身の健康のためとはいえ、面倒だなとか、早く終わらないかなと感じる方もいらっしゃると思います。 ...
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青くてモフモフした愛らしい見た目で人気を集める、ガンバ大阪のオフィシャルマスコットが、2022年5月に登場した「モフレム」です。好奇心旺盛で食いしん坊、人を笑顔にすることが大好きなムードメーカーとして知られ、失敗してもへこたれない強いハートの持ち主。茶目っ気たっぷりでいつも一生懸命な姿がガンバ大阪のファン・サポーターの心をがっちりとつかんでいます。 モフレムを生み出したガンバ大阪は、地元の人たちの熱い想いを受けとめ、寄付金を募ってホームスタジアムを建設したり、アパレルや食品メーカーとコラボするなど、サッカーの枠を超えて、ファン・サポーターの日常に寄り添う取り組みを積極的に行ってきたクラブです。モフレムに関しても、スポーツマスコットの常識を覆し、日本のスポーツ文化に新しい風を吹き込む必要があると考え、ファン・サポーターはもちろん、地域の方や子どもたちなど、多くの方と情緒的なつながりを作ることに挑戦したいとの熱い想いと願いを込めて誕生しました。 モフレムは、その愛らしい見た目(視覚)、ふわふわモフモフとした質感(触覚)、実際に食べられるモフレムグルメ(味覚)、思わず口ずさんでしまうモフレムソング「ジャンピン・バンピン モフレム」(聴覚)のように、これまでさまざまな感覚でファン・サポーターや地域の人たちを楽しませてきました。 ガンバ大阪オフィシャルマスコット「モフレム」 そして今回、モフレムの魅力をさらにパワーアップするために新たに加わったのが、モフレムの香り「MOFFICÉ(モフィーチェ)」です。ガンバ大阪がモフレムを通して挑戦している「ファンや地域を巻き込んだ、ピッチを超えた体験創造」の一役を香りが担えるのでは、と考えて開発に至りました。マスコットに香りという「嗅覚(きゅうかく)」が加わることで、五感のすべてでモフレムを体感できるようになったのです。 モフレムの香り「MOFFICÉ(モフィーチェ)」は、ワークショップやブランド分析を経て、モフレムチームとべレアラボがゼロから作り上げた完全にオリジナルの香りです。「マスコットの香りを作る」という前代未聞のプロジェクトだけに、完成までの道のりは一筋縄ではいきませんでした。 香りの開発にあたっては、ガンバ大阪でモフレムのプロジェクトを担当するスタッフのみなさんに集まってもらい、ワークショップを開催。あらためて、モフレムとはどういう存在なのか、モフレムを通して伝えたいことなど、人々のこころを惹きつけるモフレムの本質を深堀りしていきました。 その中で一番印象的だったのは、「モフレムを通してスタジアムでの楽しい体験を思い出してほしい」、「モフレムに会いたい!と思ってもらいたい」、「泣いている子どもも笑顔になる」、「ハッピーになるような存在であってほしい」といった願いでした。 スタッフの皆さんがモフレムを通じて届けたいのは、「青いふわふわに包まれて一緒に楽しい気分になろう!とにかくみんなでハッピーになろう!」というメッセージであることが明確になり、香りを作るうえで大きな柱になりました。 こうしたモフレムチームの想いや届けたいメッセージをのせ、モフレムを香りで具現化する。そのためにベレアラボの調香師クリストフ・ロダミエルとも議論し、試作と評価を重ねていきました。 最終的に完成したのは、モフレムの愛らしさ、楽しさ、ハッピーにさせてくれるキャラクターや、ふわふわモフモフとした質感を表現した香り。綿あめや色とりどりのドロップキャンディ、ジューシーなフルーツの香りが、お祭りのワクワク感や童心に返るような気持ちを想起させてくれます。 そしてこの香りの背景には、モフレムがガンバ大阪のファン・サポーターも、そうでない人も、地域の人も、みんなを笑顔でつなぎ、ハッピーの連鎖を巻き起こす存在になってほしいという願いが込められているのです。 香りの名前「MOFFICÉ(モフィーチェ)」は、モフレムの“MOF”とふわふわやモフモフを意味するイタリア語“SOFFICÉ(ソフィーチェ)”を合わせて名付けられました。実は、ガンバ大阪の「GAMBA(ガンバ)」はイタリア語で「脚」という意味であることを皆さんは知っていましたか?同様にモフレムの香りもイタリア語を取り入れて命名されました。 そして、5月19日にパナソニック スタジアム 吹田で開催されたモフレムデーで、ついにこの「MOFFICÉ(モフィーチェ)」が初めてお披露目されました。...
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創造性とデザイン性に優れた注文住宅をこれまで数多く生み出してきたミサワホーム。独自工法による「柱のない家」や南極昭和基地の建物建設のサポートなど、多くの先進的な取り組みでも知られています。近年はスマートホームテクノロジーをいち早く導入。太陽光発電システムなど省エネ技術を積極的に取り入れ、自然災害への対処、有害物質の排除など、健康と安全に配慮した設計にも力を入れています。そんな先進性を持つミサワホームがこれまで積み上げてきたノウハウを活用し、社員のために立ち上げたスペースが、新宿の本社内にある「Co-Creation Park(コ・クリエーション パーク)」です。 室内に自然に近い環境を再現することで創造性を刺激し、社員同士が部署の垣根を越えて交流できるようさまざまな工夫がされており、その中で私たちのルームフレグランスを活用いただいています。今回、この場所が作られた背景、そしてベレアラボの香りを導入した目的などについて、立ち上げプロジェクトの中心となった同社人事総務部 総務課の上村 美弥子(うえむら みやこ)さんにお話をうかがいました。 バイオフィリックデザインを導入し、五感を通じて自然とつながる環境を創出 新宿区にあるミサワホーム本社。15階フロアのドアを開けると、目に飛び込んでくるのは植物の鮮やかな緑。聞こえてくる川のせせらぎの音。そして、やさしく漂う「CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)」の香り。2022年に作られた「Co-Creation Park」は、今までのオフィスとはまったく違う考えでデザインされた空間です。最も大きな特徴が「バイオフィリックデザイン」の導入でした。語源となっている「バイオフィリア(Biophilia)」という言葉は「人が先天的に持つ、自然とつながりたいという本能的な欲求」をいいます。バイオフィリックデザインとは、この概念を空間に反映させること。この考えをオフィスデザインに取り入れることで社員が幸福感を得るとともに、集中力や創造性の向上、コミュニケーションの活発化などが期待できます。このデザインを導入した理由について、立ち上げプロジェクトの中心となった上村さんはこのように語ります。「社員の皆さんに自然を感じながら過ごしてもらい、それをストレスの軽減や生産性の向上につなげてほしい。そんな思いからバイオフィリックデザインを導入しました。五感に響く仕掛けを施すことで、より自然に近い環境にしています。例えば視覚についてはフロア全体に緑を配置して、さらに、自然光に近い柔らかなトーンの『サーカディアン照明』も取り入れました。時間ごとに照明の強さを変えることで、1日の時間の流れを感じてもらうことが狙いです。聴覚については、川のせせらぎや鳥の声など四季それぞれのサウンドをより自然に、やさしく耳に届くように再生しています。そして香りについては『SWINGING PEAR(スウィンギング ペアー)』、『BRIGHTENING CITRUS(ブライトニング シトラス)』、『CHEERING BERGAMOT(チアリング ベルガモット)』、『INSPIRING KODO(インスパイアリング コードー)』の4つを使い分けて、四季を感じさせる演出を行っています」。 社員がより人間らしく働き、つながりを深めることができる環境を整える フロアを見わたすとオープンなフリーアドレスエリア、集中して作業できるブース、グループワークに適したミーティングルーム、リラックスできるリフレッシュエリア、ガラス張りのミーティングルームなどの区画が仕切りなしで設けられ、各自が思い思いの時間を過ごしています。集中して黙々と作業をする人、飲み物を片手にリラックスする人、ガラス張りのブースの中でWeb会議をする人、久しぶりの再会を喜び合う人たち、楽しく談笑する仲のいい同僚たちなど、過ごし方はさまざま。ここはグループ企業を含めた社員が誰でも自由に使うことができます。 このスペースが立ち上がったきっかけはコロナ禍でした。テレワークの導入が一気に進み、毎日の出社率は約6割。多くの社員が週2日ほどテレワークをするのがスタンダードとなり、Web会議が増えるなど、働き方は大きく変化。リモートワークの増加は時代の流れである一方、出社する理由が希薄になり、社員のコミュニケーション不足が徐々に課題として表れつつあったそうです。「多くの人にとって住宅は人生で最も大きな買い物。中でも注文住宅の建築は、多くのスタッフがお客様のライフスタイルに寄り添いながら共同で行っていく仕事です。だからこそ今の時代にふさわしい柔軟な働き方への切り替えを促進しつつ、社員がより人間らしく働き、つながりを深める環境を整えることを考えました」。人と人の直接の交流からイノベーションを生み出す新しい環境を提案したい。そんな発想から、『Co-Creation Park』立ち上げプロジェクトがスタートしました。総務課に異動する以前、個人向け住宅の営業を担当していた上村さんは社員を顧客のようにとらえ「みんなが創造性豊かな時間を過ごすために何が必要か」を考えていったそうです。「ここにはもともといくつかの会議室と自動販売機を設置した休憩スペースがあり、それぞれが仕切られていました。最初に考えたのは『この限られた用途の空間をもっとさまざまなことに使える場所にしたい』ということ。そこでスペースを区切っていた間仕切りを取り去り、オープンな空間にしました。今までにない価値をこの場所から創り上げてほしい。そのためには、ただ机があって椅子があって、照明があって、というありきたりな空間ではいけない。狭い会議室に集まって堅苦しく話し合うのではなく、人が自発的に集まり『ちょっと聞いてもらいたいんだけど』というような何気ない会話が気楽に進んでいくリビングルームのような空間にしたいと考えました」。『Co-Creation Park』という名称は、このスペースに集った人と人が『共に』新たなことを『創造』する、すなわち『共創(Co-Creation)』が自発的に生まれる場をイメージしたものです。スペースの用途はビジネスに限定されてはいません。仕事をするだけでなく、休憩するだけでもなく、会議室でも休憩室でもカフェでもない。そのバランスを上手く取り、幅広い用途に対応させることを考えました。上村さんによると、以前ここで社員向けヨガイベントを行ったこともあるそうです。 四季で変わる4つの香りで、季節の移ろいを感じてほしい このスペースは、ミサワホームのESG経営(※)を象徴する場所でもあります。社会が大きく変わり、働き方や働く場の価値観も大きく変わった今、ひとりひとりが健康に働けることと、生産性の高い環境づくりの両立が求められているのです。※先の利益や評価だけではなく、環境や社会への配慮、健全な管理体制の構築などによって持続可能な発展を目指す経営手法Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3要素を反映させる経営方針バイオフィリックデザインを導入した背景にはそんな時代の流れもあります。そして今回ベレアラボの香りを導入した理由について、上村さんはこう語ってくれました。「ベレアラボさんのルームフレグランスはしっかりと香るだけでなく、スポーツ選手がパフォーマンス向上のために活用していたりと、品質と使用実績の裏づけがしっかりしている。だからこそ、時には社員の集中を、時にはリラックスを助け、人と人をつなぐ架け橋になってほしいと考えました」特にこだわったのが、四季に合わせて1年間で4つの香りを切り替えることでした。春は揺れる洋梨がみずみずしいフルーティーフローラルの香り『SWINGING PEAR(スウィンギング ペアー)』を、夏はカリフォルニアオレンジの弾けるような明るさが特徴の『BRIGHTENING CITRUS(ブライトニング...
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2023年10月15日、「音楽のまち」として知られる神奈川県川崎市に株式会社ホリプロがオープンしたライブハウス「SUPERNOVA KAWASAKI(スペルノーヴァ・カワサキ)」。私たちはSUPERNOVA KAWASAKIオリジナルの香り「FADE IN(フェードイン)」を調香。香りを使ったライブハウスの空間演出という、新たな取り組みをスタートしました。SUPERNOVA KAWASAKIはなぜ、オリジナルの香りをつくったのか。そして「ライブハウスと香り」という組み合わせには、どんな可能性があるのでしょう。支配人の中村優作(なかむら ゆうさく)さんがベレアラボの調香師クリストフ・ロダミエルと対面し、今回のプロジェクトについて想いを語りました。 オリジナルの香り「FADE IN(フェードイン)」を用いた空間演出 神奈川県第二の都市・川崎市。東京都心へのアクセスのよさで人気を集め、毎年人口も増加しています。活気にあふれた駅周辺には近年、大規模な商業施設が続々と建設され、多くの若い世代や家族連れでにぎわっています。また、かねてから「音楽のまちづくり」を進めており、市内には「ミューザ川崎シンフォニーホール」や「クラブチッタ」など、さまざまな音楽会場があることでも知られています。そんな川崎市に誕生した「SUPERNOVA KAWASAKI」。こちらは「文化をプロモートする人間産業」という企業理念のもと、タレントの発掘・育成、映像事業、ミュージカルなどの演劇をプロデュースする公演事業など、さまざまな事業を複合的に展開する総合エンターテインメント企業である株式会社ホリプロが手がけた、初のライブハウスです。SUPERNOVAとは「超新星」という意味。この名前には「新しい才能の開花」という願いが込められています。ここの魅力の一つが、アクセスのよさ。川崎駅改札口からつながるペデストリアンデッキを歩いていくと、緑にあふれた琥珀色の建物が表れます。 芝生が敷き詰められた屋上広場を横目に階段を降り、ライブスペースのある1階へ。室内に入ると、「FADE IN(フェードイン)」の香りがほのかに漂ってきます。ライブが行われる「HALL」に向かい足を進めると、甘く重厚感のあるアンバーにやさしく重なり合う、フレッシュなオレンジピール、爽やかなグリーン、イモーテルやミモザの花々やストロベリーの香りを感じることができるでしょう。私たちは1Fライブ会場手前のバーカウンターがある「ホワイエ」というスペースにディフューザーを設置し、ライブに訪れたお客様がドリンクを飲みながら自由に過ごす時間を香りで演出しています。この香りは、SUPERNOVA KAWASAKIの建築コンセプト「AMBER(アンバー)」をベースとした、超新星が放つフレッシュなエネルギーが感じられる香りです。SUPERNOVA KAWASAKIオリジナルの香り「FADE IN(フェード・イン)」 オリジナルの香りがスペルノーヴァならではの体験をつくる 「こんなに奥深く、多面的な香りはないと思います」語るのは、SUPERNOVA KAWASAKI支配人・中村優作さん。今回、私たちとともに「FADE IN(フェードイン)」をつくった背景について、中村さんはこう話してくれました。「ライブハウスに香り。この組み合わせを考えたのは、今までにないエンターテインメントスペースをつくりたかったからです。一般的にライブハウスというと、暗い地下にあって照明も暗く、独特の空気感があって簡単には入りにくいメージがあると思います。私たちが川崎市と一緒につくりたかったのはそういう場所ではなく、誰も見たことのないライブハウス。だから「緑のまち・かわさき」にふさわしい外観に加えて、目を引くアート作品や古いレコードを転用してつくった照明、シングルモルトのウイスキーやボジョレヌーヴォーといったお酒など、とにかく細部にこだわりました。香りを使った演出は、その上での最後の一手です。オリジナルの香りでライブハウスをブランディングした例は、これまでなかったはず。今までにないエンターテインメントスペースという、私たちの考え方にもぴったり合うと思いました」。SUPERNOVA=超新星という名称には「新しい才能をこの場所からどんどん送り出していきたい」という願いが込められています。「だからこそ、積極的に新しいチャレンジをすべき」と中村さんは考えました。 「やるならオリジナルの香り。最初からそう決めていました。香りとは思い出。素敵な香りによって、ライブに来てくれた人にかけがえのない思い出を持って帰ってほしい。そのためには、他の場所で体験できる香りではダメ。SUPERNOVA KAWASAKIだけの思い出をつくってほしいからこそ、オリジナルでなければいけない。コロナ禍を経て音楽イベントが復活した今、実際の場所だからこそできる体験の価値は高まっています。今の時代に求められるのは、検索では決してヒットしないリアルな体験を提供すること。だからこそ、人間の感情や記憶に働きかける香りの力を使い、他にはない場づくりをしようと考えました」香りを通じて、新たな才能が放つフレッシュなエネルギーを記憶にとどめ、心揺さぶられる感動体験をしてほしい。オリジナルの香りを通じてワクワク感、高揚感をかき立てられ、SUPERNOVA KAWASAKIのファンになって、繰り返し何度も訪れてほしい。中村さんはそう考えたのでした。 香りにも音楽にも「物語」がある 中村さんの思いをベースに、私たちは調香師クリストフ・ロダミエルとともに、オリジナルの香りの開発をスタートしました。調香のベースとなった考えは、建築家の宮部浩幸さんによるSUPERNOVA KAWASAKIの建築コンセプト「AMBER(アンバー)」。これは、川崎という土地の歴史を踏まえたものです。川崎の発展に欠かせないのが、多摩川の存在です。かつて頻繁に氾濫した多摩川のへりに人々は土手を築いて活動範囲を広げ、それが今の発展につながりました。SUPERNOVA KAWASAKIの「アンバー(=琥珀)」というコンセプトは、その土手の色をイメージしたもの。そこで、スパニッシュアンバーの甘く重厚感のある香りをベースにオリジナルの香りを組み立てていくことになりました。「クリストフさんがおっしゃっていた『香りには物語がある』という言葉が、僕にはとても印象的でした。一つの香りがあって、その向こう側にまた別の香りが見える。それらが何層にも重なり合って、ストーリーが生まれていく。川崎の街の発展にも物語がありますし、ストーリーがあるのは音楽もまったく同じだと思いました」。建設中のSUPERNOVA KAWASAKIにもたびたび訪問。中村さんと対話を重ねていく中で考えたゴールは「ワクワク感」「高揚感」そして「訪れた人の記憶に残る香りをつくること」でした。今までのライブハウスのイメージとはまったく異なる空間。これから始まるライブへの期待感、没入感を高めてくれるインパクトある内装、バーカウンターで飲めるこだわりのお酒の数々。そして音楽を楽しむ場所を訪れた人が感じるエナジー、ダイナミックさや華やかさなど、パーティのような楽しい空間にふさわしいエッセンス。それらを織り交ぜながら、私たちはオリジナルの香りを考えていきました。「こちらが持っている情報をすべてお渡しした上で、あとはすべて信頼してお任せしました。なぜなら、ベレアラボの香りが本当に素晴らしかったからです。最初にクリストフさんが調香した香りをいくつか体験させていただいたのですが、例えば日常生活でよく使われる香り製品の匂いとはまったく違い、とても多面的で奥深い。それに驚き、心の底から感動しました。 植物や果物などのナチュラルな香りが絶妙なバランスで重なり合い、さまざまな感情を揺さぶられる。ある人にとっては忘れられないエキサイティングな記憶となり、また別の人にとっては懐かしい思いを呼び起こされる経験となる。そのような大きな可能性を、香りが持つ多面性と奥深さに感じました。だから、意見する必要はまったくないと思いました」。...
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今回ご紹介するのは、福島県のプロサッカークラブ「いわきFC」との取り組みです。 サッカーと香り。少々意外な組み合わせに思えますが、いわきFCとベレアラボは2018年より「香りをいかにパフォーマンス向上に役立てるか」というテーマで検証を行ってきました。 年間40試合以上を戦うハードな日々を過ごす選手たちにとって重要な「休息」の質を高めるため、ベレアラボの香りを取り入れています。 香りで選手達の休息をサポート 現在、J2に所属するいわきFCは、2022年、創設から6年という異例の早さでJリーグ入りし、初参戦でJ3を制覇する快挙を達成しました。2023年からは、戦いの場をJ2に移しています。 いわきFCは平均年齢22.9歳と、Jリーグ随一の若いチームです。創設当初から「日本のフィジカルスタンダードを変える」というスローガンを掲げて、筋力トレーニングやスプリントトレーニングによる身体づくりを重視してきました。 そのため、他チームの選手と比べても、選手達の身体は筋骨隆々。若さと鍛え上げた身体の強さを前面に押し出し、試合が終わるまで止まらず、倒れずに走り続けるサッカーを展開します。 年間40試合以上を戦い抜くために必要なのは質の高い休息ですが、「試合前日の不安感や、試合当日夜の精神的疲労感でよく眠れない」と語る選手がおり、チームはそれを問題視していました。 鍛えるだけでは心身がもたない。サッカーをしていない時間にしっかりと休息を取り、コンディションを整えた上でゲームに臨んでほしい。 私たちはそう考え、2019年にいわきFCとパートナーシップ契約を締結。香りを活用して選手たちの休息をサポートし、コンディションの改善を目指してきました。 まずは2019年から2020年にかけ、試合前にグリーンの香り「Restful Green(レストフル グリーン)」を使った試合と使っていない試合で、精神的な疲労の軽減や回復が見られるかを検証。この結果を踏まえ、クラブハウスのロッカールームとスパイクルームにディフューザーを設置し、グリーンの香りを空間に漂わせ、練習や試合の合間の休息をサポートしました。 その後、2022年からは試合に向けた休息サポートにとどまらず、選手個々に香りを選んでもらい、プライベートの時間に活用してもらう取り組みをスタート。選手に指輪型のスマートデバイス「Oura Ring(オーラリング)」を着用してもらい、睡眠をトラッキング。練習や試合以外の時間やシーンごとに香りを使い分けていただくことで、休息の質の向上を図っていきました。 その結果、自宅で好きな香りを使うことが気持ちの切り替えにつながり、コンディションにいい影響をもたらすことを、選手たちはしっかりと認識するようになりました。自宅では「ナチュラル アロマディフューザー」を使って、香りに包まれたリラックス環境を作り、遠征には手のひらサイズの「ラバロック ミニ...
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商業施設で、スポーツ施設で、駅で、市役所で。福島県いわき市に出かけると、市内のさまざまな場所に漂うやさしい香りに気づくことでしょう。もぎたての梨や桃などのフルーツや、甘くエキゾチックな花々が織りなす香り。それは私たちを明るい気持ちにさせてくれます。
いわき市は、全国でも珍しい「市の香り」をもつ自治体です。いわき市の香り「Lino Lina(リノ・リナ)」は、「フラのまち」として知られるいわき市とベレアラボが、市のブランディングの一環として共同開発したものなのです。そしてこの10月。このリノ・リナを空間演出で活用した舞台『フラガール' 23』が、10月5日から15日まで、東京・赤坂RED/THEATERにて上演されます。いわき市はなぜ、このような取り組みを始めたのでしょう。そしてリノ・リナは今、どのように活用されているのでしょう。今回は、いわき市と私たちベレアラボが紡ぐストーリーをご紹介します。
市の魅力を、五感のすべてを使ってアピールしたい。
いわき市には美しい海や歴史ある温泉、太陽の恵みから生まれた農産物、震災から復興を遂げたいわきの人のエネルギーなど、たくさんの地域資源があります。その中でもポピュラーな地域資源が「フラ」。いわき市内には今、多彩なフラ文化が育っています。その原点は「スパリゾートハワイアンズ」。かつての名称は「常磐ハワイアンセンター」といいます。この常磐ハワイアンセンターの誕生に基づく実話から生まれたのが、2006年に公開された映画『フラガール』。男性優位の炭鉱の町で、フラダンスを通じて自己実現を成し遂げたフラガール達の希望に満ちあふれる姿は、爽やかな感動を与えてくれました。第30回日本アカデミー賞最優秀賞作品賞を受賞したこの作品。都会から招かれたダンス教師を演じた主演の松雪泰子さんの他、蒼井優さんや山崎静代さんのフレッシュな演技と迫力ある踊りが話題となり、覚えている方も多いことでしょう。常磐ハワイアンセンターの誕生に始まり、映画『フラガール』によって全国に知られることになったいわき市のフラ文化はその後、多彩な形で成長していきます。今や高校生による競技大会「フラガールズ甲子園」、いわき湯本の温泉宿の女将たちが着物でフラを踊る「フラ女将」などが、市の大切なアイデンティティとなっています。一方、全国的に進む少子高齢化の影響が、いわき市にも押し寄せてきました。特に10代後半の世代の流出は、大きな課題となっています。今、暮らしている人には「これからも住み続けたい」と思ってほしい。そして、街を出た人には帰って来てもらいたい。そして多くの人に「選ばれるまち」をつくりたい。2018年、いわき市はそんな思いから、市の魅力を市内外に広く発信し、街のブランド力を高める「いわき市シティセールス基本方針」を策定。その中で「フラシティいわき」というコンセプトを発表しました。
フラシティいわき公式サイト私たちが市の担当者の方からご連絡をいただいたのは、その3年後のこと。「フラシティいわきの魅力を、ロゴを活用した視覚でのPRに加え、香りを使った五感でアピールしていきたい。その一環としてぜひ『いわき市の香り』を作ってほしい」市の担当の方から明かされたのは、そんな思いでした。こうして、いわき市と私たちは「街の香りを作る」という、例のないプロジェクトをスタートさせたのです。
幸せあふれるフラの香り。
私たちは市民の皆様とのワークショップを通じ、どのような香りをつくるか、ディスカッションを重ねていきました。
香りは大脳辺縁系という、記憶や情緒をつかさどる部分にダイレクトに働きかけます。そのため香り選びには、これまでの記憶や感覚、感情が大きく影響します。そこで皆さんには、いわきへの思い、記憶、愛情などのイメージを、具体的な言葉に落とし込んでいただきました。
「海辺でみんなでフラを踊りたくなる香り」というものでした。市民自らがフラを踊り、その文化を絶やさず育むコミュニティの中に、来訪者も、いちどいわきを離れた人もまた交わって一つの輪になる。そんな未来イメージが、市民とのディスカッションを通じて見えてきました。
このコンセプトに基づき、キーとなる香料を選定していきます。私たちはいわきの名産である梨、福島の桃、ハワイのグアバのフルーティでフローラルな香りをベースに、レイで使うチュベローズやサンダルウッド(ハワイ白檀)の花々の香り、そしていわき七浜の潮風の香りなどをブレンド。レイを首からかけてもらった時に感じるうれしさや幸せな気持ちをイメージさせる香りを、調香師クリストフ・ロダミエルとともにつくっていきました。こうして2022年3月にお披露目されたのが「Lino Lina(リノ・リナ)」。
ハワイ語で「Lino(リノ)」は「輝く・結ぶ」、「Lina(リナ)」は「柔らかい」という意味。「フラシティいわきの明るく暖かい陽射しのように、この香りが人と人とを結びつけてくれることを願い、そう名づけられました。ボトルデザインは、海を想起する青いボトルと太陽をイメージする金のキャップ、フルーツの甘さ・みずみずしさと潮風をイメージしたベースカラーを使ったラベルとなっています。キラキラと輝くいわき七浜の美しい海を眺めながら、みんなで輪になってフラダンスを踊りたくなる。そんな「幸せあふれるフラの香り」に仕上がりました。リノ・リナの商品はスプレーやディフューザー対応のアロマオイル、そして石鹸(限定品)として販売されている他、ハワイアンズホテル、ハワイアンズスタジアム、湯本温泉駅、フラガールズ甲子園をはじめとする、いわき市内の商業・観光・イベント・スポーツ施設など、さまざまな場所で体験することができます。
石鹸(限定品)は、いわきFC(J2リーグ)の選手、地元フラダンス部の高校生とのコラボレーションで開発しました。いわき七浜の美しい海を連想するオーシャンブルーの石鹸で、手洗い、洗顔、バスタイムなどの日常のシーンに「リノ・リナ」の香りがやさしく寄り添います。
リノ・リナ公式サイト
石鹸づくりの様子(YouTube)
リノ・リナの香りで満たされる舞台「フラガール'23」
そしてこの10月。リノ・リナを空間演出で活用した舞台「フラガール'23」が、10月5日から15日まで、東京・赤坂RED/THEATERにて上演されます。映画「フラガール」の舞台版となる本作では、映画版の脚本を手がけた羽原大介さんが脚本・演出を行い、自身の演劇ユニット・羽原組の作品として上演されます。出演者はフラ先生役の稲村梓さん、高校生でソロダンサーに挑む花子役の中村守里さんに加え、なすびさんなど福島県出身者が4名参加。最年少の伊藤わこさんはいわき市出身です。
私たちが手がけるのは、舞台終盤の空間演出です。甘くフルーティで爽やかなリノ・リナの香りで満たされるクライマックスシーンを、ぜひお楽しみください。羽原組 舞台「フラガール'23」期間:2023年10月5日(木)~15日(日)場所:東京都 赤坂RED/THEATER料金:全席指定:5,000円公式サイト:https://www.team-habara.com/チケット販売サイト:https://ticket.corich.jp/apply/267596/
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